福島県郡山市の農家 藤田さんのご講演
藤田浩志さんのご講演をお聞きすることができました。
藤田さんは郡山市の農家の8代目、稲作を中心にブランド野菜作りにも取り組んでいらっしゃいます。また、福島民報社が主催した「ふくしまからのメッセージ」で大賞を受賞され、うつくしま復興大使としてご活躍中です。
私は、震災後に苦労された話が講演の中心になると思っていました。しかし、藤田さんは、野菜ソムリエのユニフォームをスマートに着こなし、ipadなど沢山のガジェットをかかえて登場されます。話される内容もSNSを利用した情報発信の重要性や、マーケティングの話など、農家というよりスタートアップ企業の社長といった印象です。
「農家は個人事業主。いいものを生産するだけでなく、美味しく食べていただくために、情報を発信してマーケティングも行う必要がある。」とのこと。なるほど納得です。
そんな藤田さんも震災後は、農家をやめようと悩まれたことがあったそうですが、次のように考えて乗り越えられました。
・受け入れる
福島に放射性物質が降り注いでしまったということは変えられない事実である。
まず受入れる。そこから始める。
・覚悟する
いろいろな意見をもった人がいるのだから、批判されることも覚悟する。
それ以上に応援してくれる人もいる。
・いいものを作る
とにかく美味しいもの、良いものを作る。
印象に残ったのは、その行動力とスピートです。
震災後すぐに放射性物質の危険性を知るために、SNSを通して知り合った研究者や大学の先生と直接お会いしたり、「ふくしま新発売」のサイトで連載を持ち、糸井重里さんと対談されたりしています。とにかく学び、それを行動に結びつけるスピードが早いと感じました。
それらを支えてきたものは、仲間じゃないでしょうか。「震災後はじめて集まったとき、農業を続けていけるかわからない状況の中、次のブランド野菜について話し合った。」というところ、とても感動しました。
「福島県の農産物は、放射性物質の検査を受ける必要がある。しかし、それはあたりまえのことで付加価値には結びつかない。検査をするなら残留農薬や栄養価、味覚なども測定して消費者に提供できないか。」ということを考えられているそうです。農業のデータ化、自動化にも取り組みたいとのこと。すでに実現に向けて行動されています。
福島県でITに携わるものとして、ぜひ協力していきたいと思いました。